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アクティブリコールを使った効果的なアウトプット勉強法のすすめ【最高の勉強法/安川康介】

トウカ:32歳。無職。頭はいいが不器用な性格。ユウは弟の友達。
ユウ:大学2年生。普通の子。元気いっぱいだが勉強は苦手。トウカは幼馴染の姉。

目次

トウカが喫茶店のテラス席でお茶をしていたところ、弟の友達であるユウが偶然通りかかった。
いつもは元気いっぱいのユウだが今日は肩をおとしており、自嘲気味な笑顔をトウカに見せた。

普段は問題集を解くだけか?

ユウ君がやっている勉強法はインプット中心のものが多いかもな。
一般的に、記憶を促すにはインプットよりアウトプットを重視した方がいいとされている。

ここでいうインプットとは、
記憶を脳に入力する(覚える)ことだ。

アウトプットは逆に
記憶を脳から出力する(取り出す)ことだな。

落ち着け、それだと何も変わってないだろ。
より効果的な勉強法に、
アクティブリコールというものがある。

医師である安川康介さんの著書
科学的根拠に基づく最高の勉強法で紹介されている方法だ。

そこまで難しい話じゃない。簡単に言うと、
頑張って思い出すことだ。
今日は時間があるからもう少し詳しく教えてあげよう。コーヒーでも買ってくるから待ってなさい。

著者である安川康介さんについて

トウカの座っていた対面側の席でユウが待っていると、自分の分だけコーヒーをおかわりしてきたトウカが戻ってきた。

さて、本題に入るまえに筆者である
安川康介さんについて軽く紹介させてもらおう。

筆者はアメリカの医療機関につとめる日本人医師だ。
アメリカで外国人が医師になるためには、
アメリカの医師国家試験成績上位で合格しないといけないんだ。

病院あたりの医師の数には、当たり前だが限度がある。
そしてそのほとんどは、アメリカ国籍を持つ医師たちで埋まってしまう。
そのため、数少ない外国人の採用枠を勝ち取る必要があるんだ。

筆者の場合、慶應義塾大学の在籍中に
上位1%以内で合格し、現在はアメリカで内科専門医として活躍されている。
本書ではこの時の勉強法を中心に紹介している。

そうだな。
アクティブリコールの前に、まずあまり効果の高くないとされている勉強法を説明しよう。

あまり効果の高くない勉強法

さっき聞いた感じだと、きみがやっている勉強法はインプット中心のものが多そうだな。

インプット中心の勉強方法
  • 教科書や単語帳を見る
  • ノートにまとめる
  • 参考書に線を引く
  • 問題集を解く

といった方法は、記憶の定着にはあまり効果が高くないんだ。
とにかく情報を頭に詰め込んでいくような方法だな。

たしかにそうだが、問題集の大半は選択式穴埋め式だったりしないか?
正解したら覚えていると満足し、間違った場合も正解を見て納得し、いずれも
覚えようとするだけになりがちだ。

問題集が悪いわけではない。有用なツールだが、インプットを前提とした使い方ではあまり効率がいいとは言えないということだ。
インプット中心の学習全体に言えることだが、
分かった気になってしまうリスクも高い。これは後のほうでも説明しよう。

アウトプットが記憶の定着に良い理由

記憶を脳に刻むには、
脳に負荷をかける方法が良いことが分かっている。
苦労がないと脳が重要なものだと認識せず、忘れちゃってもOKと判断するんだろうな。

例えばスポーツを学ぶにしても、動画や指導者の見本を見ているだけで技術は上達しない。料理やそのほかの趣味などでも言えることだ。
いずれも学んだことを実践して失敗と反省を糧に成長するものだ。
アウトプットの重要性は誰もが知っていることだが、なぜか学習においてはインプットを重視してしまいがちだ。

そうだな。もちろんインプットも大事だ。割合的に、
アウトプットはインプットに対して2倍ほどの時間をかけた方がいいと言われている。

効果の高い勉強方法・アクティブリコール

しょうがないな。
はじめに伝えたが、アクティブリコールは簡単に言うと
頑張って思い出すことだ。

そうだ。
アクティブリコールは想起練習練習テストとも言われ、

アクティブリコールとは
  • 能動的に思い出すこと
  • 苦労して頭から情報を取り出す作業

のことを指す。
なにかを記憶するためには、この2つが非常に重要なことが
科学的に証明されている。

インプットだけによる学習と比べて、
有意に効果があることが分かっているんだ。

あぁ。ちなみに「有意に」とは、統計学的に
”確率的に偶然とは考えにくく、意味があると考えられる”ということだ。

個人的にこういう方法を試したら上手くいった!という経験談ではなく、場合によっては数百人の被験者を対象に比較実験をして、得られた結果から統計的に効果があることが示された、ということだ。

そうだろう。インプット中心による暗記とは異なり、

・情報の長期記憶への定着
・深い理解による応用力の向上

などが期待できることが、いくつかの研究によって分かっている。

そうだな。さっき言ったように、アクティブリコールにおいて重要になるのが、
能動的に思い出すことや、
苦労して頭から情報を取り出すことだ。

本書では、より具体的な表現として、アクティブリコールを行うときの
手がかりが少ないほど、その効果に期待できることが書かれている。

例えば、英文の穴埋め問題であれば前後の文脈から正解が想定できるだろう。
穴埋めをする箇所が増えるほど手がかりは少なくなり、記憶をひっぱりだすのにより苦労することになる。

テストであればそれは大いに結構だが、学習時においてはあまり望ましいとは思えない。
深く理解していないのに分かった気になるため、脳に負荷がかからない

アクティブリコールなどを活用した勉強法

思い出すという行為さえ意識すれば問題ない。
また、なるべくノーヒントで思い出すことも効果的だな。
本書では、筆者が医師国家試験に向けて勉強していた時の具体的な方法が紹介されている。

だろう。
こういった方法だけでなく、通勤通学中やお風呂に入っているときなどに
インプットしたことを思い出すだけでも立派なアクティブリコールになる。
インプット中心の勉強よりも生活に溶け込ませやすいんだ。

ここで問題だ。アクティブリコールで期待できる2つの効果とは?

漫然とインプットしているとそうなるな。
能動的に苦労して思い出すといい。

また、アクティブリコールの効果を高める方法として、
プロダクション効果
プロテジェ効果
というものも本書で紹介されている。
いずれも白紙勉強法と相性の良い方法だ。

もちろん。
アクティブリコール以外にも、
分散学習
精緻的質問
自己説明
インターリービング

などが本書で紹介されている。

勉強法とは異なるが、
学術的な観点から効率的な記憶術
勉強効率を高める心と体
環境の整え方なども分かりやすくまとめられている。
アクティブリコールに活用できるノートの取り方も紹介されているな。

それはよくわからんが、試験勉強だけでなく資格や趣味の勉強など
一生を通して活用できる内容が盛りだくさんだ。

今回はアクティブリコールについて紹介したが、ただ何となく勉強法を理解するのではなく、ぜひ本書を読んでこの方法の理論と効果が
腑に落ちた状態で実践してみてほしい。
知識として知っているだけでなく、納得した上で実践した方がより効果が見込めるはずだ。

今とある企業の採用試験の途中なんだが、業界人づらした採用担当者が舐めた態度を取っていてな。
今度の面接でそいつを論破するために、業界情報を頭に叩き込んでいるところだ。

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